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実習に行かないと後悔する?獣医学生が知るべき動物病院実習の真実

実習に行かないと後悔する?獣医学生が知るべき動物病院実習の真実
獣医学生にとって動物病院での実習は、単なる授業の一環ではありません。将来の進路を決める重要な判断材料となり、就職活動を成功に導く貴重な経験の場となります。

多くの獣医学生が「実習って本当に必要なの?」「何が得られるのかわからない」と疑問に思うかもしれません。しかし、動物病院実習は大学の座学や実習では決して得ることのできない、リアルな臨床現場の経験を積むことができる貴重な機会です。

本記事では、動物病院実習で具体的に何が得られるのか、就職活動においてなぜ実習が重要なのかを詳しく解説します。これから実習を検討している獣医学生の皆さんにとって、実習の価値を理解し、効果的な実習計画を立てるための参考になれば幸いです。

動物病院実習とは?

獣医師と犬
動物病院実習とは、獣医学生が実際の動物病院で一定期間、臨床現場を体験する制度です。多くの場合、数日から1週間程度の期間で行われ、獣医師や動物看護師の業務を間近で観察し、可能な範囲で実際の診療に参加します。

大学によっては必修科目として組み込まれている場合もありますが、多くは学生が自主的に申し込んで参加する形となります。実習先は一次診療の動物病院から専門病院まで様々で、学生の興味や将来の希望に応じて選択することができます。

就活において動物病院実習が大切なわけ

動物病院実習が就職活動において重要な理由は複数あります。

まず、実際の職場環境を体験できることで、自分の適性や興味を客観的に判断できる点です。大学での学習だけでは、実際の臨床現場がどのようなものかイメージしにくく、就職後に「思っていたのと違った」というミスマッチが起こりがちです。実習を通じて現場を知ることで、より適切な就職先選択ができるようになります。

次に、実習先での人脈形成も重要な要素です。実習中に良い印象を与えることができれば、そのまま就職につながる可能性があります。また、実習先の獣医師から他の病院を紹介してもらえることも少なくありません。

さらに、面接時に具体的な体験談を話せることも大きなアドバンテージとなります。「実習でこんな経験をして、このように感じました」という具体的なエピソードは、面接官に強い印象を与えることができます。

動物病院は教育機関ではない

動物病院実習を始める前に理解しておくべき重要なポイントがあります。それは、動物病院は教育機関ではないということです。

大学や専門学校とは異なり、動物病院の主目的は動物の治療です。実習生の教育は善意で行われているものであり、病院側に教育義務があるわけではありません。実習生を受け入れることで、病院スタッフの負担が増えることも事実です。

そのため、実習生は「教えてもらって当たり前」という姿勢ではなく、「学ばせていただいている」という謙虚な気持ちで臨むことが大切です。積極的に質問し、できることがあれば進んで手伝い、常に学習意欲を示すことで、より多くのことを学ぶ機会を得ることができます。

忙しくて放っておかれてしまうこともある

動物病院は日々多くの患者が来院する忙しい職場です。特に午前と午後の診療時間中は、スタッフ全員が診療に集中しているため、実習生に十分な説明をする時間がないこともあります。

このような状況では、実習生は自分から積極的に学ぼうとする姿勢が重要になります。わからないことがあっても、診療中に質問するのは適切ではありません。診療の合間や休憩時間を見計らって質問したり、観察したことをメモに取って後で確認したりする工夫が必要です。

また、忙しい中でも実習生に気を配ってくれる病院とそうでない病院があります。これも病院選びの重要な判断材料となります。将来働く環境として、教育に理解のある病院かどうかを見極めることも実習の大切な目的の一つです。

動物病院での実習で得られるもの

獣医師の聴診器
動物病院実習では、大学では学べない貴重な経験を数多く積むことができます。ここでは、実習で得られる具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

リアルな臨床現場を見ることができる

動物病院実習の最大のメリットは、リアルな臨床現場を体験できることです。大学の附属病院での実習とは全く異なる環境を経験することで、獣医療の幅広さを実感できます。

一次診療病院では、健康診断から予防接種、外傷の処置、内科疾患の診断・治療まで、獣医師として遭遇するほとんどの症例を扱います。大学病院のように研究や教育に重点を置いた環境とは異なり、効率性と実践性が重視される現場を見ることができます。

一方、専門病院や二次診療施設での実習では、高度な医療設備を使った診断や治療、専門性の高い手術などを見学できます。これにより、将来専門分野を目指すかどうかの判断材料も得ることができます。

また、地域によっても病院の特色は大きく異なります。都市部の病院と地方の病院では、扱う動物の種類や症例、飼い主さんとの関係性も変わってきます。複数の異なるタイプの病院で実習することで、自分がどのような環境で働きたいかが明確になります。

その病院での獣医師の働き方や将来をイメージできる

実習では、その病院で働く獣医師の具体的な働き方を間近で観察できます。これは就職活動において非常に重要な情報となります。

病院によって、獣医師の業務範囲は大きく異なります。診療のみに集中できる病院もあれば、受付業務や掃除まで幅広く担当する病院もあります。また、手術の頻度や内容、診療時間、休日の取り方なども病院ごとに特色があります。

特に注目すべきは、新卒獣医師(1年目)がどの程度の業務を任されているかです。入職後すぐに一人で診療を行う病院もあれば、数か月から1年程度は先輩獣医師のサポートに徹する病院もあります。自分の性格やスキルに合った教育体制かどうかを判断することが重要です。

また、獣医師の年齢構成や勤続年数も重要な情報です。若手が多い病院は活気がある反面、経験豊富な指導者が少ない可能性があります。逆に、ベテランが多い病院は安定感がある一方で、新しい技術や考え方を取り入れにくい場合もあります。

スタッフの雰囲気や人間関係が見れる

動物病院は比較的小規模な組織であることが多く、スタッフ間の人間関係が働きやすさに大きく影響します。実習中は、獣医師同士や獣医師と動物看護師の関係性を観察することができます。

良好な人間関係が築かれている病院では、スタッフ間のコミュニケーションがスムーズで、困った時に気軽に相談できる雰囲気があります。逆に、ギスギスした雰囲気の病院では、質問しにくい環境だったり、スタッフ間の連携が取れていなかったりします。

また、院長の人柄やリーダーシップスタイルも重要な観察ポイントです。スタッフを大切にする院長のもとでは、働きやすい環境が整っていることが多く、長く勤務したいと思える職場になります。

実習生に対する接し方も、その病院の文化を表しています。親切に指導してくれる病院は、新人に対してもしっかりとしたサポート体制があることが期待できます。

働いている人の生の声を聞くことができる

実習中は、実際にその病院で働いている獣医師や動物看護師から生の声を聞くことができます。これは求人票やホームページからは得られない貴重な情報です。

例えば、「この病院を選んだ理由」「働いていて良かったこと・大変なこと」「キャリアアップの機会」「プライベートとの両立」などについて、率直な意見を聞くことができます。特に、年齢の近い若手獣医師からの話は、自分の将来を具体的にイメージする上で非常に参考になります。

また、多くの獣医師は就職活動を経験しているため、実習生に対して就活のアドバイスをしてくれることも少なくありません。「どのような病院を選ぶべきか」「面接で重視されるポイント」「入職前に身につけておくべきスキル」など、実践的なアドバイスを得ることができます。

さらに、他の病院の情報を教えてもらえることもあります。獣医師同士のネットワークは意外に広く、「○○病院は教育熱心だよ」「△△病院は設備が充実している」といった情報を得ることができます。

実習に行くなかで、自分が本当に求めている条件が洗い出される

複数の動物病院で実習を経験することで、自分が働く上で何を重視するのかが明確になってきます。これは就職活動において非常に重要な気づきです。

例えば、「高度な医療設備があることが重要」と思っていたけれど、実際に体験してみると「アットホームな雰囲気の方が自分に合っている」と感じるかもしれません。逆に、「のんびりした環境が良い」と思っていたが、「忙しくても多くの症例を経験できる病院の方が成長できそう」と考えが変わることもあります。

また、給与や休日などの労働条件についても、実際の働き方を見ることで現実的な判断ができるようになります。高給でも労働時間が長すぎる病院や、給与は控えめでも教育体制が充実している病院など、自分にとって何が最も重要かを考える機会になります。

立地についても、通勤のしやすさや生活環境との兼ね合いを実際に体験することで、より現実的な判断ができます。

実習先が合わないと感じても、推薦や紹介のチャンスにつなげられることも

実習先が自分に合わないと感じた場合でも、それが無駄になることはありません。誠実に実習に取り組んでいれば、その病院の獣医師から他の病院を紹介してもらえる可能性があります。

獣医師のネットワークは広く、「うちの病院は合わないかもしれないけれど、○○病院なら君に合うかも」といったアドバイスをもらえることがあります。また、学会や研究会で他の獣医師に実習生を推薦してくれることもあります。

重要なのは、実習先が合わないと感じても最後まで真摯に取り組むことです。途中で態度を変えたり、やる気を失ったりすることなく、学習機会として最大限活用する姿勢を保つことが大切です。

このような姿勢は、必ず誰かが見ています。そして、そうした実習生に対しては、多くの獣医師が力になりたいと思うものです。

動物病院実習では何をするのか

ハテナマーク
動物病院実習の具体的な内容について理解しておくことで、より効果的に実習に臨むことができます。

1日の流れ

動物病院実習の1日は、通常その病院の診療スケジュールに沿って進行します。

朝は開院前の準備から始まり、診療器具の準備や院内の清掃、前日の症例の確認などを行います。午前の診療時間中は、診察室での診療見学や検査の補助を行い、昼休みには症例について質問したり、午後の準備を手伝ったりします。午後の診療後は、手術見学や症例検討、翌日の準備などが行われます。

※動物病院実習の詳しい1日の流れについては、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひご覧ください。
動物病院実習での一日|リアルなスケジュールと注意点

経験できること

動物病院実習で経験できる内容は病院によって異なりますが、一般的には以下のようなことが体験できます。

診療関連

  • 診察の見学(問診、身体検査、診断)
  • 各種検査の見学・補助(血液検査、レントゲン検査、エコー検査など)
  • 手術の見学・補助(術前準備、麻酔管理補助、術後管理など)
  • 薬剤の調剤・説明の見学
  • カルテ記録の見学・簡単な入力

日常業務

  • 受付業務の見学・補助
  • 電話対応の見学
  • 院内清掃・消毒作業
  • 医療器具の準備・片付け
  • 在庫管理の手伝い

動物ケア

  • 動物の保定・ハンドリング
  • 入院動物のケア(給餌、散歩、清拭など)
  • バイタルチェック
  • 簡単な処置(爪切り、ブラッシングなど)

学習機会

  • 症例検討会への参加
  • カンファレンスの見学
  • 医療機器の使用方法説明
  • 疾患や治療法についての解説
実習生ができることは、その病院の方針や実習生のスキルレベルによって決まります。積極的な姿勢を示すことで、より多くの体験機会を得ることができます。

面談

多くの動物病院では、実習期間中または終了後に面談の機会が設けられます。これは病院側が実習生の興味や適性を確認し、実習生が病院について詳しく知るための重要な時間です。

病院側からの説明内容

  • 病院の理念・方針・特色
  • 診療内容や得意分野
  • スタッフ構成と組織体制
  • 新卒獣医師の教育・研修制度
  • 給与体系・昇給制度
  • 勤務時間・休日・有給取得状況
  • 福利厚生・各種手当
  • キャリアアップの機会
  • 学会参加・研修参加の支援

学生側から確認すべき事項

  • 新人獣医師の具体的な業務内容と責任範囲
  • 指導体制(指導者の有無、指導方法)
  • 1年目に経験できる症例の種類と数
  • スキルアップのための研修や勉強会の頻度
  • 他の動物病院との連携状況
  • 設備投資の予定や方針
  • 離職率や平均勤続年数
  • 産休・育休などのライフイベント時のサポート
  • 転居の可能性や転勤の有無
面談では、遠慮せずに気になることは積極的に質問することが大切です。入職後のミスマッチを防ぐためにも、この機会を最大限活用しましょう。

実習先選びと実習に行く際のポイント

診察をする獣医師
効果的な動物病院実習を行うためには、実習先の選び方と実習に臨む姿勢が重要です。

忙しい日と暇な日の両方いく

動物病院の業務量は日によって大きく変動します。効果的な実習を行うためには、忙しい日と比較的余裕のある日の両方を体験することが重要です。

忙しい日には、病院の真の実力や効率性、スタッフ間の連携の良さを見ることができます。緊急事態への対応や、多数の患者を効率よく診療する様子は、平常時では見ることができない貴重な学習機会です。また、忙しい中でも質の高い医療を提供できているか、スタッフが協力し合えているかなど、病院の本当の実力を評価することができます。

一方、比較的余裕のある日には、じっくりと症例について説明を受けたり、質問をしたりする時間があります。手術の詳細な見学や、診断の思考過程を教えてもらう機会も多くなります。また、スタッフとの会話を通じて病院の雰囲気や働きやすさについても深く知ることができます。

そのため、可能であれば1週間程度の期間で実習を行い、様々な状況を体験することをお勧めします。

タイプの違う動物病院に行く

自分の適性や希望を明確にするためには、異なるタイプの動物病院で実習を経験することが重要です。

規模による違い

小規模病院(獣医師1-2名)
アットホームな雰囲気、幅広い業務経験
中規模病院(獣医師3-5名)
専門性と総合性のバランス
大規模病院(獣医師6名以上)
高度医療、専門分野の分化

立地による違い

都市
動物病院の役割が細分化、専門・夜間病院多い、獣医師多い→一人当たりの症例数少ない
地方
専門病院が近くにないため役割が幅広い、獣医師少ない→一人あたりの症例数多い

診療スタイルによる違い

一次診療病院
幅広い症例、予防から治療まで、高度医療は二次病院へ紹介
専門病院
特定分野の高度医療
救急病院
緊急性の高い症例、夜間・休日診療
これらの異なる環境を体験することで、自分がどのような獣医師になりたいか、どのような働き方が合っているかが見えてきます。

実習先の選び方

動物病院の診察室
効果的な実習を行うためには、適切な実習先を選ぶことが重要です。実習先を見つける方法はいくつかありますので、それぞれのメリット・デメリットを理解して活用しましょう。

HPや求人票から自分で探す

最も一般的な方法は、動物病院のホームページや求人情報から実習先を探すことです。

メリット

  • 自分の興味や条件に合った病院を選べる
  • 病院の理念や特色を事前に把握できる
  • 幅広い選択肢から選ぶことができる
  • 自主的に行動する力が身につく

デメリット

  • 実際の雰囲気や実情がわからない場合がある
  • 断られる可能性もある
  • 情報収集に時間がかかる

探し方のポイント

  • 病院のホームページで理念や診療内容を確認
  • スタッフ紹介ページで年齢構成や専門性をチェック
  • 求人情報で教育体制や福利厚生を確認
  • 立地や通いやすさも考慮
  • 事前に電話で実習受け入れの可否を確認

先生や先輩の紹介

大学の教員や先輩からの紹介も有効な方法です。

メリット

  • 信頼関係のある人からの紹介なので受け入れられやすい
  • 事前に病院の実情を教えてもらえる
  • 実習中も相談しやすい関係性がある
  • 質の高い病院を紹介してもらえる可能性が高い

デメリット

  • 選択肢が限られる場合がある
  • 紹介者の期待に応えるプレッシャーがある
  • 自分で探す経験が不足する可能性

活用のポイント

  • 自分の希望や条件を明確に伝える
  • 紹介してもらったら責任を持って実習に臨む
  • 実習後は紹介者に結果を報告する
  • 複数の人からの紹介も検討する

採用サポートサービスを使う

最近では、獣医学生向けの採用支援サービスも充実してきています。

メリット

  • 専門のコーディネーターがマッチングを行う
  • 多様な病院の情報を効率的に得られる
  • 実習の調整や手続きをサポートしてもらえる
  • キャリア相談も受けられる

デメリット

  • サービスによっては費用がかかる場合がある
  • 自分で直接病院とコンタクトを取る機会が減る
  • サービス提携先に限られる場合がある

選び方のポイント

  • サービスの実績と信頼性を確認
  • 費用体系を明確にしておく
  • 自分の希望をしっかりと伝える
  • 複数のサービスを比較検討する
獣医学生向けに動物実習ツアーを運営するベテリナリオのようなサービスを活用することで、効率的かつ効果的な実習計画を立てることができます。

まとめ|卒業後を見据えて動物病院での実習に行こう

動物病院実習ツアー
動物病院実習は、単なる大学のカリキュラムの一部ではありません。将来臨床獣医師として活躍するためのキャリアの第一歩となる、極めて重要な経験です。
実習を通じて得られる経験は多岐にわたります。リアルな臨床現場の体験、働く獣医師の姿、病院の雰囲気、そして何より自分自身の適性や興味の発見。これらすべてが、卒業後のキャリア選択において貴重な判断材料となります。

就職活動においても、実習経験は大きな武器となります。面接で具体的な体験を話せることはもちろん、実習先での人脈形成や推薦の機会も期待できます。また、複数の病院での実習を通じて、自分が本当に求める働き方や環境を明確にできることは、入職後のミスマッチを防ぐ効果もあります。

動物病院実習では困難な場面に遭遇することもあるでしょう。忙しくて放っておかれたり、思うように学習できなかったりすることもあるかもしれません。しかし、そのような経験も含めて、すべてが将来の糧となります。

これから実習を検討している獣医学生の皆さんには、ぜひ積極的に実習に参加していただきたいと思います。忙しい日と余裕のある日の両方を体験し、異なるタイプの病院で実習を行い、多角的に獣医療の現場を学んでください。
そして、実習に臨む際は謙虚な姿勢を忘れずに、教えていただいている感謝の気持ちを持って、積極的に学習に取り組んでください。その姿勢が、きっと多くの学びと出会いをもたらしてくれるはずです。

獣医師としての充実したキャリアを築くために、動物病院実習を最大限活用し、卒業後の進路選択に役立ててください。皆さんの獣医師としての第一歩が、実りあるものとなることを心から願っています。