みなさんは獣医師の仕事内容について、具体的にどのような業務や役割があるかをご存じでしょうか。獣医師の仕事内容は、動物の診察や治療、ペットの健康を守るだけでなく、ほかにも多岐にわたりさまざまな種類があります。獣医師として就職を希望されている方は、就職活動をはじめるまえに獣医師の仕事内容について詳しく知っておく必要があります。仕事内容を深く理解することで将来のご自身が働いた職場でのようすをイメージしやすくなるため、どのような働き方があるかを事前に確認しましょう。今回は、獣医師の仕事内容や働く際の心構えについて解説します。

獣医師の基本的な仕事内容
　動物病院の小動物臨床
　産業動物診療
　病理検査・特殊検査
　公衆衛生
　薬品の製造・販売
　動物園・野生動物の管理
獣医師の役割とは？
まとめ

獣医師の仕事内容は多岐にわたりますが、ここでは主に6つの獣医師の仕事について紹介します。獣医師を目指している方はぜひ参考にしてください。

もっとも代表的なのは、動物病院の小動物臨床医です。小動物臨床医は動物の健康を守るために定期的に検診したり、病気になった際に治療をしたりします。動物はどこが悪いのかを言葉で伝えられないため、獣医師が判断して診療する必要があります。
小動物臨床医は動物の知識だけでなく、コミュニケーション能力も必要です。小動物の状態について飼い主とコミュニケーションをとる必要があるため、話すことが得意な方は小動物臨床医に向いています。
働き先は動物病院で働いたり、自分で開業したりと選択の幅が広いのが特徴です。動物病院の場合は、小規模から大規模な病院もあり、専門性を持った病院もあります。ご自身で開業する場合は、まず既存の動物病院でスキルや経験を身につけ、さまざまな仕事をこなせるようになることが重要です。
獣医学部を卒業後は多くの方が小動物臨床医になりますが、ステップアップを目指して就職するのが望ましいです。小動物臨床医で働く場合は雇用の仕方もさまざまなため、正社員で働いたり、非正規で働いたりとご自身の好む働き方を選べます。またフリーランスという働き方もありますが、こちらはかなり高度なスキルを求められるでしょう。どのような雇用の仕方でも、目標を持って働くとやりがいをもって働けます。小動物臨床医で働く際は、認定医取得や昇給を目指して高い目標をもって働きましょう。

産業動物診療も獣医師の仕事のひとつです。家畜用の牛や馬、豚、鶏などの定期検診や診療、競馬で走る馬の診察を行います。病気や伝染病が発生しないように、獣医師が農家の方にアドバイスを行うのも仕事のひとつです。獣医師は動物の健康を守るだけでなく、農家の経営も支えています。農家の動物が病気になってしまうと、動物の命を失うだけでなく経営が成り立たなくなるためです。
産業動物診療として働きたい場合は、農業協同組合に属するか、開業獣医師のもとに勤務医として就職するかを選択します。数年後に個人で開業するケースもありますが、一度診療施設で経験を積んでから開業される方が多く、実績やスキルを身につけることでステップアップできる職種といえます。

病理検査や特殊検査は、会社に属して働くことが多い職種です。動物の病原菌の発生調査や専門的な検査は、専門家に調べてもらう必要があります。動物病院から依頼を受けて調査するのが一般的で、動物病院の獣医師でもわからない専門的な調査を仕事としています。
病理検査は動物の健康を守ることに直接関わるため、使命感が生まれます。使命感を持ちながら仕事に取り組むことで、日々高いモチベーションを維持しながら働けるでしょう。

獣医師の公衆衛生の仕事は、公務員として働ける場合があります。とくに保健所では、飼い犬の登録や狂犬病の予防接種、犬の躾、感染症対策や予防、水質管理や食肉検査、検疫業務などさまざまな仕事があります。感染症が起こる前に動物の生体検査を行うことで国民が健康に生活できるようにし、衛生面を管理することが保健所の仕事です。
食中毒の調査なども獣医師が行う場合があります。食品から感染症を引き起こす可能性があるため、動物の健康調査だけでなく、食品の管理や指導を行うのも保健所の仕事です。
ほかには、動物福祉の確保も仕事のひとつです。飼い主がわからない動物の確保や動物愛護を伝えるのも公衆衛生獣医師の仕事であり、動物と人間が共存して生きていくためには、たくさんの方に動物との暮らし方について知ってもらう必要があります。PR活動やイベントを開催するなど、動物の命の大切さを伝える役割も担います。

動物の健康を守るだけでなく、薬品の製造や販売を行う仕事もあります。就職先によっては製薬会社の営業担当になる場合もあり、製薬会社で開発した製薬を動物病院などに販売したり、製薬の効能の説明を行ったりします。会社により獣医師の仕事内容が異なるため、就職する際はどのような仕事を任されるかを確認しておく必要があります。
また、製薬の製造に直接関われる場合もあります。動物実験による製薬の研究をしたい方は、薬品製造の職種が向いています。製薬会社での仕事は、薬の性能や効能のチェックや開発に直接関わる場合もあります。専門的な知識を取得したい方におすすめです。

動物園や野生動物の管理も獣医師の仕事のひとつです。動物園での仕事内容は、動物たちの健康や病気を診断し、生態系の確認を行います。動物の管理だけでなく生態系を維持できるように、絶滅が危惧されている動物の調査なども実施します。
動物を管理する業務では、動物の定期検診やワクチン接種など行い、動物によってはサプリメントを投与する場合もあります。これらは動物に知見のある獣医師が行う必要があり、動物の命を守るには必要な仕事です。
動物園に就職すると、イベントを任される場合があります。動物園に来てくれる人向けにイベントを開き、動物と人間の共存や生命の大切さを伝えます。イベントに興味を持った子どもが将来獣医師になってくれる可能性もあるため、獣医師の仕事のPR活動も行えます。

獣医師の役割は、いくつかあります。動物に関する専門知識を活かし、動物の保護や健康のサポートを行うため、獣医師の活躍が期待されます。動物は自分で体調の悪い部分を訴えられないため、獣医師が検査してどこが悪いのかを調べる必要があります。検査をするだけでなく飼い主との意思疎通も重要なため、小動物の臨床医になる場合はコミュニケーション能力を必要とします。
獣医師は、ペットを飼っていない方にとっても重要な職種です。獣医師が担う衛生管理は、動物から感染症を引き起こさせないための対策をします。鳥インフルエンザが流行した際には、早期に対応するのも獣医師の仕事のひとつです。
ほかにも普段何気なく食べている食肉も、獣医師が家畜動物の健康を守っています。安心してお肉をおいしく食べられるのは、獣医師の徹底した管理があるからです。薬の開発も獣医師の活躍が必要で、動物の健康を守る以外にも獣医師はさまざまな役割を果たします。

獣医師の仕事内容や役割について解説しました。獣医師の仕事内容は、動物の健康を守るだけでなく国民の健康を守る仕事など多岐にわたります。働き先によっては仕事内容が異なるため、獣医師を目指す場合はどのような仕事がご自身に合っているかを確認することが重要です。